暗いのは嫌い。
あたしがこの世でたった1人になった気がするから。
雷はもっと嫌い。
あたしの大切なものをうばってしまうから。
ねえ、あなたはずっと一緒にいてくれるの?
雨の日
夢を見た。あたしの目の前で両親が殺された夢。
幼い頃の記憶が鮮明に思い出される。
だから雷の夜は嫌い・・・・。
(・・・・こっちの世界に来てからはこの夢見なかったのに)
のっそりと布団から起き上がると、ぐっしょりと嫌な汗をかいていることに気がついた。
この時代じゃあ夜は明かりもなく真っ暗だ。
明るいライトも硬いコンクリートも存在しない。妙な静けさがなぜか恐ろしく感じる。
障子の向こうはさっきから黄色い光が一瞬光っては、気味の悪い大きな音が鳴り響いている。
とりあえず枕を持って立ちあがる。こんな雷の日じゃどうせ1人で眠れないんだ。
この歳になってかなり恥ずかしい事だけど、怖いほうが嫌だからしかたない。
(そうそう、仕方ないのよ!!!)
なんとか自分を納得させ人に気づかれないようにこっそりと部屋を出た。
あたしの部屋から1番近いのは三成の部屋だ。
「・・・・・・あの天邪鬼が一緒に寝てくれるかなー」
こんな事頼むのは本気で恥ずかしい。
ピカッッ
「うぉう!!!!」
枕を抱きしめたまましゃがみこむ。
怖いっちゅーの!!!!!
涙が1つ頬を伝う。どうやら我慢の限界が来たみたいで、あたしは本当に恥ずかしいのとかそう言うのがどうでもよくなって
三成の部屋にかけこんだ。
スパン!
勢いよく障子を開くと三成がさっと起きて身構えたのがうっすらと見えた。
三成はあたしの事だって気づいていない。
もう一度雷がなった時には、あたしは三成にしがみついていた。
「・・・・・、か?」
「そう、ですけど」
「なんだ、こんな夜更けに」
「・・・・・・・・うーんっと、ちょっと一緒に寝てもらってもいい??」
「・・・・はぁ?断る。自分の部屋で寝ろ」
絶対こうなると思ってたよ・・・・。まあ相手は三成だから仕方ないけどさ
か弱い乙女が頼ってんだからもっと気を使え!とも思うよ
「・・・じゃあ兼続のところいく」
立ち上ったあたしの腕を三成がつかむ。
「なにさ。もう起こさないから寝ればいいじゃん」
すねながら言うあたしに三成は溜息をついた。
顔は完璧に呆れてるというか、なんというか・・・
「兼続はやめておけ」
「なんで?きっと優しいから平気だよ」
「・・・あいつは疲れてるから休ませてやれ」
そう言えばここの所、書類やらなんやら抱えて忙しそうにしてたっけなー・・・
確かにお疲れの兼続を起こすのは悪いきがする。
良心が痛むってやつだよ。
「えっと、じゃあ幸村ん所いってきます」
「幸村は寝相が悪いぞ」
三成に即答される。寝相が悪いって言うのは初耳だけど・・・
「え?まじで??じゃあ、左近??」
「・・・・・・いいのか?」
「嘘です。あたしが嫌です」
さすがに左近は、ね。ちょっとした危険を感じるわけですよ。
てか、なんだこいつ!どうしろっていうの!?
湧き上がる怒りをふつふつと堪えながら、ちらっと三成を見ると不機嫌そうにあたしを見ていた。
不機嫌になるのはこっちだよ、普通。
「なぜ一緒に寝る必要がある?」
・ ・・眉間の皺がすごいよ三成さん。
「と、とくに意味はない・・・・です」
「嘘だろ」
ピカッッ
三成がそう言ってあたしの目を見た瞬間に、また凄い光が飛びこんだ。
今まで1番すごい音が鳴ったかと思うとすぐにポツポツと雨が降りだす。
本当に最悪な天気だ。
「きゃぁ!!」
ついつい叫び声をあげてうずくまった。
三成は意外そうな声をあげて、あたしの肩に暖かい手を置いた。
「、雷が怖いのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・うん」
小さくうなずく。怖くて仕方ない。
あの光景が、血の匂いがどうしても蘇る。
ずっと忘れようと思ったのに、忘れたかったのにあの日と同じ天気になれば勝手にフラッシュバックするこの感覚。
この世界に来てから雷がなった日がなかったから油断してた。
うずくまったままで震えが止まらないあたしを暖かい何かが包み込んだ。
それが三成だと気づくのにそう時間はかからない。
「みつな、り?」
「そうなら早く言え、意地っ張りが」
「天邪鬼の三成には言われたくないよ」
そっと三成の背中に手を回す。普段でこんな事したら絶対取り払われるけど今日ばかりは多めに見てくれるらしい。
「・・・ふん」
三成は一度、あたしを放すと布団に入りこんだ。
どうすればいいのか分からずにいると腕を引っ張られてぎゅっと体を抱きしめられる。一気に気が緩んだせいか涙が止まらない。
ただ、ひどく恥ずかしくて唇をかみながら嗚咽を押さえた。
「」
いつもよりとげのない、三成の心地良い声があたしの名前を呼ぶ。その音は耳から入って静かに心に行き渡った。
「・・・ん?」
「声を出しても構わん」
―――――――――――いつもは冷たいアナタは、本当は暖かい人だから。
「うっ・・・・うぅぅ」
――――――――――アナタの優しさが心に染みたから。
あたしの涙が三成の肩を濡らす。もう声も止まらない。
情けない嗚咽が止まらなくて、でも三成は子供をあやすような手つきで背中をさすってくれた。
―――――――――熱いものがこみ上げてとまらなくなった。
「ねえ、三成」
「なんだ」
「・・・・・・・・・・ありがとうね」
「理由があるならかまわん」
「うん」
あたしは瞼が重くなるのを感じた。
――――――――――そばにいてくれて、ありがとうね・・・・。大好きだよ。
雨の日の嫌な思い出。
貴方がいれば忘れられるかもしれない・・・。
言い訳
短編夢です。ちなみにちょっと面倒くさい設定となっております。
さんは現代から無双世界にトリップして(自分トリップ大好きですから)きた人。
現代では雨の日に両親を殺されちまった設定で。
まあ、べつにシリーズ物ではないので細かいことは気にせず;
おまけ→→GO